つながりを感じる

その小さな池の水の出口は、浅く掘られた溝に土管が埋め込まれた、何ということもないものだった.水は澱んでいて、ほとんど流れていない.土管の入り口につづく部分は浅い水流いうより濡れた土.なぜか小さなハエや羽虫、みつばちがそこに集まってブンブン、ジー、と羽音を立てている.水分をとっているのだろうか.しゃがみこんで顔を近づけると飛び立つものもあり、地面にとまったまま忙しそうにしているものもある.幸い、まだ蚊の季節ではない.にもかかわらず、私に近づいてきてつんつんと肌の近くを偵察しているやつがいると、少し身構えてしまう.よく見てみているうちに、この小さな虫が私という人間を知覚して反応して飛んでいることが何とも不思議なことに思えてきた.これは、たぶん何万年と一つところで呼吸し食事をし何かの拍子に関わり合い死んでいきながら生活してきたからこそのことなのだ.彼らの行動には私の存在が予定されている.そう考えると私というものが周りに発散していって、地球をもおおってしまいそうな感覚にとらわれるが、すべては私の皮膚の中でおこっていることで、私はあいかわらずガラス玉に映るものを一生懸命見つめているのだった.