WorldChanging: Another World Is Here: Terraforming Earth IV: The Question of Methane
地球テラフォーミングIV: メタンの問題
- 地球テラフォーミング Terraforming Earth とは
- 大規模なエンジニアリングを通じて環境がひっくり返ってしまうのを阻止し、地球を再び「地球らしく」すること
- これまでの記事
- Terraforming Earth
- Terraforming Earth, Part II
- Terraforming Earth, Part III: Geoethical Principles
- これまでの記事では、はるか先の可能性として論じていた
- シベリアの極地地方の永久凍土が融けているという、New Scientist の記事 (イギリスのガーディアン紙の記事にもなった)
- 原因
- 極地地方の気温循環(自然におこるもの)
- 地球温暖化(シベリアはどこよりも急速に暖まっている)
- 雪がとけることによるフィードバック効果
- 雪が融ける→地面が黒くなる→熱を吸収する→雪が融ける
- 影響
- メタンの放出; シベリアの永久凍土はメタンを生産する泥炭地を覆っている
- この記事は学術雑誌の論文のようにピア・レビューされたわけではないが、だからといって間違っているわけでもない; 他の研究でも、メタンの「ホットスポット」が形成されているという報告がある
- 実際に永久凍土の融解が早まっているとして、知るべきことが2つある:
- 放出されるメタンは数ギガトンのオーダーだと考えられている
- メタンは温室ガスとしては、二酸化炭素より21倍強力である
- これは重大な問題だが、もうひとつ、そんなに悪くないこともある
- CO2が大気循環してしまうには100年強かかるが、メタン CH4 はおよそ10年である
- CH4 + 2O2 → CO2 + H2O という化学反応が大気の中でおこる
- メタンを栄養源とする細菌がいる
- だがこれでは大量のメタンには対応できない
- 人間の活動(メタノール燃料を使うなど)ではギガトン単位のメタンは処理できない; 惑星工学の出番だ
- 大気中のメタンの酸化反応を促進する場合
- この反応には OH の存在が不可欠; OH を大気中に放出することが考えられる
- だが非現実的
- 他の大気汚染物質(一酸化炭素やNOx)も酸化されるであろう
- メタン栄養細菌を使う場合
- 淡水や土壌に見られるもの、海で発見された古細菌(海中のメタン酸化の80%を担っていると言われる)、超好熱菌にみられるものがある
- 中でも Methylococcus capsulatus の研究について
- ゲノムが読まれた
- 現在よりも広範囲の環境に適応できるはずである
- メタン酸化の能力を促進させる可能性も研究されている
- 遺伝子操作したメタン栄養細菌を使うのがもっとも効果的に思われる
- 遺伝子組み換えメタン栄養細菌を使った場合のリスクは小さい
- 検討すべき問題
- 物理的に実現可能か? 細菌を間に合うだけふやすことはできるか?
- 生物学的に可能か? シベリアという環境で細菌が実際に繁殖して大量のメタンを消費できるか?
- 想定外のリスクはありうるか? わからなければ、やらない、ではなく、もっと調査すべきである。メタン栄養細菌によって更に解決の難しい問題がでてくるなら、OHを放出する方にするべきだろう; COやNOxに対処してきた経験はあるから
- こうしたテラフォーミングの提案は、軽い気持ちで言っているのではない
- 地球工学的な解決法は、可逆的で管理のゆきとどく方法がない、または使えない場合に試みるべきだと思う
- シベリアのメタンの場合は、他の安全な解決法がとても少ない
- 融けるのを止める手段はない; 今から温暖化ガスを放出するのをやめたとしてもダメだ - 何十年という過去のガスが今大気中にあるのだ