北杜夫全集 第9巻 怪盗ジバコ/ぼくのおじさん
- 作者: 北杜夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976
- メディア: 単行本
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ref:ドクトル・ジバゴ 1
ref:ドクトル・ジバゴ 2
怪盗ジバコ
ボートの三人男 (中公文庫)と同じ種類のユーモアを感じる
タバコを一本喫い終るほどの時間
(p.22)ってわからん人(私含む)にはわからん
鳩首会議
(p.46)相談事などのためにおおぜい集まって頭をつき合わせること。(Shin Meikai Kokugo Dictionary (C) Sanseido Co., Ltd.)
ぼくのおじさん
おなじみの叔父さん像の集大成
わたしの耳は貝のから
海のひびきをなつかしむ(コクトオ)(p167)
つい一昨日(050510)学校の机の上に落書きしてあった詩だ。
おじさんの詩
油虫はカエルの子、ではない
なぜなら 水の中に住まないから
- -
きれいなバラにはとげがあり
といって
きたないバラにまでとげがある
- -
ネムの若葉はねむたげに
タイヤキの香りにあこがれる
- -
エベレストも高いが
ああ 本だってどうして高い
- おじさん
- 兄の家に居候する、できそこないの独り者。子供たちに偉ぶる。見合いをする。見合い写真の悪口を言う。海外旅行の懸賞をあてようと周囲の人を引き込む。
最後に、この「おじさん」は北さん自身なのだ、とあとがきがある。エスプリは第三者をわらい、ユーモアは自分自身をわらう、と聞いたことがある。北さんのユーモアはやはりユーモアなのだなぁ。
港にぎらつく日が
異国の地の異国人とケチな日本人紳士。
贅沢
投資マイナス見返りの大きさで贅沢をはかるなら、見返りを少なくすることで贅沢を味わえる。と思ってこの老人が酔狂な真似をしてるのかは知らないが。
意地悪爺さん
ものすごく汚ない水爆
を爆発させても、自然はどうにかなっていくだろうという気はする。ま、変なとこでつっこんでも仕方ないし、最後に笑えたことがカンジンだ。
童女
パロディーは好きだ。ジャンル分けに意味があるのか解らないが北さんは色々なジャンルのものを書いている。
買物
途中で落ちは見えてしまったが、雰囲気が「彼は新しい日記帳を抱いて泣く」に似て透明な感じ。
大河小説
小説の中の小説がところどころ地の文にあらわれ(端折りすぎだから大河小説のそのまんまの文じゃないけど)、かつその大河小説が小説の中で次第にちょっとした現実扱いになっていっているのがおもしろい。
怪盗グレート
喜劇の中にも風刺がある。思い込んで自分もできる!と思うところ(それだってイイんじゃないかと思う)は先日(5/13)のナイトスクープの格闘技のやつを思い出した。
柳の下
たしかに、副題だけがいい、かもしれない。でも、作品の評価については作者も読者も自由にする自由があるから、といって、私はというと、うーん、落ちは好きじゃないな。